いつか本気を出します

多趣味という名の飽き性。その時々のネタ・メモを置いときますね。

独りで映画鑑賞 No.3  『わが谷は緑なりき』

今回観たのは、ジョン・フォード監督の『わが谷は緑なりき』(1941) 原題は『How Green Was My Valley』というそうで、個人的には邦題がいい味だしている例かと。

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最近は洋画のタイトルそのままとか、点プレ的な邦題とか(「○○の××」みたいな)が多い気がなんとなくします。 まぁ、きっと昔と比べて英語を読める人は増えましたし、タイトルは分かりやすいほうがいいのかもしれませんね。 個人的には、TUTAYAにふらっとよった時に、タイトルで「何これ?」ってのがあるとふと手にとってしまいますね。本と同じかもしれません。

話が逸れましたが、人を名前で判断してはいけないなんて言われるように、映画もタイトルで判断してはいけませんね。

作品の舞台は19世紀末のイギリス・ウェールズ地方。炭鉱の町で暮らすモーガン一家の生活を、主人公の回顧的視点から描いた物語です。 余談ですが、この作品の炭鉱街がジブリラピュタ」のモチーフになっているそうですね。 確かに、オマージュされているようですね。なんとなく似ている気がします。

また、舞台がウェールズということで、歌が生活の一部として描かれているのは、やはりケルト人としてのアイデンティティ云々があったのでしょうか。 簡単ですが、以下に私がまとめた部分を抜粋しています。

本作品は、19世紀末のウェールズが舞台となっている。ウェールズは古くから鉱業がさかんであり、18世紀から20世紀前半にかけて、世界最大の石炭輸出地域であった。多くの炭鉱や、製鉄所が立ち並び、そこで精製される鉱物資源は、大英帝国産業革命の原動力の一つとなった。ウェールズ自体、農業に適さない土地のため、牧畜が中心であり、それは作中でも主人公の原風景として描写されている。産業革命期の鉱業の発展により、ウェールズには、イングランドアイルランドから大量の労働者が流入しており、人口が急増した。そのため、労働者階級の団結力が高く、労働組合運動も盛んであった。政治的に労働党との関係が深く、現在でも強い権力基盤となっている。鉱業の衰退後、主要な産業は伝統的な重工業から軽工業・サービス業へと転換し、海外企業誘致が積極的に行われている。  民族的には、ウェールズアイルランドなどと同じく、ケルト人としての伝統と誇りを残す地域である。公用語も英語とウェールズ語が併用されており、地域で日常的に使用されている。吟遊詩人としての伝承が残るように、ケルトの文化と音楽は密接に関わっており、現代にはケルト音楽として継承されている。作中においても、町の人々にとって音楽が日常と融合している様子が描写されており、主人公の父がケルト人としての誇りについて口にする場面もある。

ウェールズは「プリンス・オブ・ウェールズ」の響きと、話題になったラグビーのイメージしか、残念ながらありません・・・。 あと、やたら国旗がかっこいいですよね。由来を調べてみましたが、確たるものは見つけられませんでした・・・。しかも、ドラゴンの部分の書き方は標準化されていないとか!

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むかしサッカーゲームで、国旗がかっこいいからと多様していた記憶があります。今みると、ん?かっこいい・・・?

また脱線しました(汗) 感想としては、色使いがすごい作品だと感じました。 もちろんモノクロ映画なのですが、炭鉱の町を白黒の濃淡で見事に表現していたり、草原の瑞々しい緑を光の加減で映し出したり、 歌や音楽とあいまって、全体的に芸術作品のような印象を受けました。 恐らく、そのまえに『怒りの葡萄』のドキュメンタリチックな描写を見たから、そうした美しさが際立って見えたのだと思いますが、 人間賛歌の物語といわれた所以はなんとなく感じました。

ウィキペディアのあらすじを見ているととても悲惨な物語のような印象を受けますが、 実際に見てみると、随所にコミカルな表現があり、決して悲劇ではありません。

気になった方は是非一度ご鑑賞あれ。 恐らく、著作権が切れている?かもしれないので、無料で見られるサイトがあるかもしれません。 便利な時代になりましたね。